Ar-20 寛永寺から上野公園を歩く
寛永寺と徳川霊廟、東京藝術大学、国立博物館を経て、上の戦争の舞台となった上野公園を、さらに湯島の旧岩崎邸までを歩きます。
推奨する街歩きの起点
鶯谷駅 上野駅 上野広小路駅
主なポイント抜粋
江戸史跡
寛永寺
徳川家霊廟 (非公開)
寛永寺は上野戦争でほぼ消失しました。徳川霊廟は非公開ですが側道、一般墓地から一部が見られます。徳川将軍15人のうち6人(家綱、綱吉、吉宗、家治、家斉、家定)が眠っています。
道路側から二つの霊廟門が間近に見れます。
厳有院霊廟勅額門
常憲院霊廟勅額門
厳有院霊廟勅額門は江戸幕府4代将軍徳川家綱の霊廟。
常憲院霊廟勅額門は江戸幕府5代将軍徳川綱吉の霊廟です。
上野東照宮 (有料)
1627年(寛永4年)創建。家康・吉宗・慶喜を祀っています。現在の社殿は家光が改築し、上野戦争や震災や空襲でも焼失 を免れています。
寛永寺 旧本坊表門 (黒門)
寛永年間(1624-43年)に建立。この門は上野戦争の戦火を免れ、門扉には戦闘の時の弾痕が残っています。近くに谷中にあった幸田露伴旧宅の門が保存されています。
鳥取藩池田家上屋敷 黒門
元は丸の内にあった因州(鳥取藩)池田家江戸上屋敷の正門です。大名屋敷表門では東京大学の赤門と並び称さる程です。
寛永寺 五重塔
上野の五重塔は1631年(寛永8)に寛永寺境内にあった上野東照宮に建てられました。東照宮は神社で、当時は神仏習合か ら寺と神社が同居していました。
上野大佛
大仏は1631年(寛永8)の建立。関東大震災により首が落ち、戦時には胴体を徴用されて顔部分のみが残されました。
清水観音堂
清水観音堂は、京都東山の清水寺を模した舞台造りのお堂で、1631年(寛永8)に建立されました。上野に現存する最古の 建造です。
彰義隊の墓
戦闘後、上野には200名を超える彰義隊士の遺骸が残されました。元彰義隊士の願いにより、1875年(明治8)に彰義隊の 墓が建立されました。
西郷隆盛銅像
大日本帝国憲法発布に伴う大赦によって西郷の「逆徒」の汚名が解かれ、1898年(明治31年)除幕された。西郷像は高村 光雲の作。
小松宮彰仁親王像
幕末の鳥羽伏見の戦いでは征討大将軍に任命され、戊辰戦争では奥羽征討総督、西南戦争でも指揮を取りました。明治45 年の建立。
伊能忠敬の墓 (源空寺)
忠敬の願いにより天文学の師匠高橋至時の墓の隣に眠っています。
葛飾北斎の墓 (誓教寺)
葛飾北斎の像
墓石正面には「画狂老人卍墓」と書かれています。卍は北斎の画号の一つ。ほかにも30以上の画号を使っていました。
近代遺構
野口英世像 (上野公園)
野口英世の功績を称えて昭和22年に北里研究所や日本医師会が銅像を建立。皇居前や日比谷公園では許可が下りず上野公 園に設置されたようです。
子規球場 正岡子規の句碑
子規は野球を愛好し上野公園で野球を楽しんでいました。「春風や まりを 投げた き 草の原」の句碑があります。
東京藝術大学 岡倉天心 像
芸大の前身、東京美術学校の設立に尽力し校長も務めた岡倉天心。六角堂に平櫛田中の作の彫像が置かれています。
近代レトロ建築
上野駅
竣工年:1932年(昭和7年)設計:鉄道省。
震災で焼失し、昭和7年に2代目駅舎が完成。大正14年に山手線の環状運転、東北への玄関口として機能しました。
国立西洋美術館
竣工年:1959年(昭和34年)設計:ル・コルビジェ。
松方コレクションを基に設立。設計はル・コルビュジェ、弟子の前川國男らが協力し完成。世界文化遺産に登録。
国立科学博物館
竣工年:1931年(昭和6年)設計:小倉強。
国立の唯一の総合科学博物館。堂々としたネオ・ルネサンス様式の建築で、外壁は御影石と茶色いスクラッチタイル。
東京国立博物館 本館
竣工年:1937年(昭和12年)設計:渡辺仁。
1872年(明治5年)に創設された日本最古の博物館。震災で大破、建て替えられました。和洋折衷建築です。
東京国立博物館 表慶館
竣工年:1908年(明治41年)設計:片山東熊。
大正天皇の成婚を祝い石造、煉瓦造2階建てのネオ・バロック様式の建物です。中央と両端にドームが特徴です。
旧東京音楽学校奏楽堂
竣工年:1890年(明治23年)設計:山口半六。
日本で最初に建てられた西洋式音楽ホール。卒業生の瀧廉太郎の銅像が設置されています。
東京芸術大学 正木記念館
竣工年:1935年(昭和10年) 設計:金沢庸治。
東京美術学校第5代校長正木直彦の長年にわたる功労を記念するため建設。建物は近世和風様式の鉄筋コンクリート造。
東京藝術大学 赤レンガ1号館
竣工年:1880年(明治13年) 設計:林忠恕。
都内に現存する最古の煉瓦建築。教育博物館の耐火書庫として建てられたもので、127年を経た今も現存しています。
東京藝術大学 赤レンガ2号館
竣工年:1886年(明治19年) 設計:小島憲之。
2号館は旧東京図書館書籍閲覧所の書庫として建てられた木造屋根を持つ煉瓦造り建築です。この図書館には、森鷗外や樋口一葉も通っていたとか。
東京藝術大学 陳列館
竣工年:1929年(昭和4年) 設計:岡田信一郎。
芸術資料館のメインギャラリーとして長く親しまれてきた展示室です。外壁に貼り付けられた赤いスクラッチタイルは芸 大の中でも少なくなってしまいました。
東京国立博物館 黒田記念館
竣工年:1928年(昭和3年) 設計:岡田信一郎。
黒田清輝の遺言により建設。外観はスクラッチタイル張りで正背面2階中央にイオニア式列柱6本を配してほぼ左右対称の端整な姿です。
国立国会図書館 国際子ども図書館
竣工年:1929年(昭和4年) 設計:久留正道。
旧館(レンガ棟)は帝国図書館として明治39年に一期、昭和4年に増築されました。さらに2015年に安藤忠雄設計の新館(アーチ棟)が竣工しました。
京成電鉄旧博物館動物園駅
竣工年:1931年(昭和6年)設計:中川俊二。
1933年(昭和8年)の京成本線開通に合わせ開業。老朽化や乗降客数減少により、2004年に廃止されました。
旧岩崎邸
竣工年:1896年(明治29年)設計:ジョサイア・コンドル。
岩崎家の迎賓館として建築。屋根はスレート葺き、ジャコビアン様式を基調としつつ、ベランダはコロニアル様式が表れています。
岩崎家茅町本邸 撞球室
竣工年:1896年(明治29年)設計:ジョサイア・コンドル。
木造ゴシック様式のビリヤード室。校倉造の外観はスイスの山小屋風。洋館と同じくコンドルの設計。
小川眼科医院(黒沢ビル)
竣工年:1931年(昭和6年)。
震災後に鉄筋コンクリート造の小川眼科医院が建設されました。随所にステンドグラスが施されています。
松坂屋 上野店
竣工年:1929年(昭和4年)設計:鈴木禎次。
江戸時代から同じ場所で続く百貨店は日本橋三越とこの松坂屋のみです。震災で全焼し、本館を再建。エレベーターを10基設置し、日本初のエレベーターガールが配置されました。
比留間歯科医院
築年:1929年(昭和4年)洋風木造建築。
丁寧に修理等して使われている現役と思われる歯科医院です。木造2階建て。
看板建築 町屋
水上酒本店
竣工年:1929年(昭和4年)。
明治33年の創業。木造の重厚な3階建て。出桁造りの屋根を突き破る形で3階部分が建てられている珍しい構造です。
鳥栄
竣工年:詳細不詳。
戦前木造二階建ての町屋。岩崎旧邸近くの角地で発見した町屋です。予約も難しい現役の老舗鶏鍋屋とか。
都心に生きる古木
上野東照宮のクスノキ
樹齢:400年 高さ:23m 幹周:7m
上野東照宮のキササゲ
樹齢:400年以上 高さ:16m 幹周5.5m
輪王殿駐車場のクスノキ
樹齢:300年 高さ:20m 幹周:5m
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