東京レトロ街歩きガイド&マップ

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Th-12 戦後の東京をデザインした建築家

東京にある丹下健三の作品は既に誰でも知っていてランドマークとなっているものも数多くありますが、改めて訪れてその才能、芸術性を確かめていきます。

主なポイント抜粋

丹下健三

日本では「世界のタンゲ」と言われたように、日本人建築家として最も早く国外でも活躍し認知された一人で、また磯崎新、黒川紀章、槇文彦、谷口吉生などの世界的建築家の育成も行いました。第二次世界大戦復興後から高度経済成長期にかけて昭和という時代の国家的プロジェクトを背負い続けた天才建築家と言えます。

東京カテドラル聖マリア大聖堂
1964年竣工
代表作とも言える建築のひとつ。50年も前に建築されたとは思えない洗練されたデザインで、上空から見ると十字架を象っています。

草月会館
1977年竣工
会館はイサム・ノグチによる石庭があり、カーテンウォールには赤坂御所の緑が映しこまれるようになっています。

国際連合大学本部
1992年竣工
シンメトリーなピラミッド型のビルで、国連らしくとても威厳のある外観です。格子状のデザインが東京都庁の外観との共通性を感じます。

トルコ大使館
1977年竣工
内外装にはトルコ産の大理石を使っています。

国立代々木競技場 第一、第二体育館
1964年竣工
代表的作品として名高い。吊橋と同様の吊り構造の技術を用いており、第一体育館は2本、第二体育館は1本の主柱から屋根全体が吊り下げられています。構造からくる造形的な美しさがあります。

ブルガリア大使館
1974年竣工
白大理石を使用し、上層階にいくほど建物が宙にせり出している造形です。傾斜地を生かし大使館とレジデンスエリアをゆるやかにつなぐ外階段も特徴です。

新宿パークタワー
1994年竣工
3棟の構成。それぞれの屋上に逆三角形の屋根がついた独特のデザイン。都庁舎第二庁舎と共通性が感じられます。

東京都庁
1990年竣工
丹下健三の後期の代表作のひとつで、デザインとしてはポストモダンに属するとも、第一本庁舎は一般にパリのノートルダム大聖堂の形態を引用しているともいわれています。

東京大学 本部棟
1979年竣工
4隅にタワーを建てそれをブリッジで繋ぐという構造になっていて、レンガ調と黒のブリッジという抑えめな色彩です。

東京ドームホテル
2000年竣工
柔らかな曲面でモダンなデザインです。外装には濃淡グレーのセラミックプレートと透過性と反射性を合わせもつガラスを使用し景色を映し出します。

御茶ノ水NKビル
2006年竣工
丹下健三が設計した数少ないテナントオフィスビルのひとつであり、格調高い外観が特長です。

静岡新聞
1967年竣工
濃い茶色の円筒形のコアから箱状のオフィスが張り出す独特な構造。複数のコアを空中に渡した床で連結可能です。

電通築地ビル
1967年竣工
コンクリート製の柱梁の力強い造形が外観が特徴。丹下の築地再開発計画の一部でしたが実現しませんでした。

クウェート大使館
1970年竣工
2本の太いコア・シャフトによって支えられた上層部と下層部で構成されるダイナミックな造形は凝りに凝っています。

フジテレビジョン
1996年竣工
アルミ素材のメタリックな質感と球体が組み込まれたオブジェのようなその構造、そしてスケール感は圧倒的です。

東京ファッションタウンビル
1996年竣工
巨大なスケール感があり、斜めの壁面の下部は軒下の縁側のような構造になっていて魅力的な空間が続いています。

がん研有明病院
2005年竣工
リゾートホテルのようにも見えるスタイリッシュでスマートなデザインです。丹下健三氏が亡くなった2005年に竣工。

安藤忠雄

異端の建築家、安藤忠雄。大阪の下町に育ち、17歳でプロボクサーとして活動。経済上の理由で大学には通えなかったため独学で建築士試験に一発で合格。1995年には建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞しました。

東急東横線 副都心線 渋谷駅
2008年竣工
副都心線が開業し、地下5階までの空間が「地宙船」と呼ばれる卵型シェルの特徴的なデザインが採用されました。

メルローズ本社ビル
1984年竣工
アパレルメーカーの本社ビルで、コンクリート打放しの壁と円筒形のガラスを融合させた美しいデザインの建築です。

COCUEオフィスビル
2002年竣工
初期の作品です。コンクリート打放しとガラスで構成された極めてシンプルなファサードが特徴です。

21世紀キリスト教会
2014年竣工
コンクリート打放しの二等辺三角形をしておりその先端に向かって十字架があるという構造です。

CUE NISHIAZABU
2003年竣工
コンクリート打放しの2つの長方形の棟がズレながら向き合うデザインの分譲マンションです。

21_21 DESIGN SIGHT
2007年竣工
折り曲げられた巨大な一枚の鉄板の屋根が地面に向かって傾斜する独創的な造形の低層建築です。

TOTOギャラリー・間
1985年竣工
周囲から浮き立つ青い外観のデザインです。無料の建築ギャラリーになっていて、内部構造に特徴があります。

LA COLLEZIONE
1989年竣工
安藤による東京での初ビッグプロジェクト。直線、円形、ガラス、吹き抜け、螺旋階段が組み合わされたデザインです。

フォレストプラザ表参道
2001年竣工
コンクリート打放しのブロックが積み立てられたようなデザインの4階建て集合住宅です。

表参道ヒルズ
2006年竣工
同潤会青山アパートの再開発プロジェクトで、安藤の代表作の一つです。建物の高さをケヤキの並木と同限度に低く抑え表参道の道なりに約250メートルの連続したファサードをつくりだし、表参道の傾斜にあわせ床をスロープ状に傾斜させているのが特徴。また旧同潤会青山アパートを「同潤館」として再生してあります。

BANK GALLERY
2005年竣工
一枚の鉄板を自由に折り曲げたような黒いスチールプレートを外装に使い、造形を作り出しています。

青山フェアリーハウス
1987年竣工
個人宅として建てられた建築でしたが、現在は結婚式場のコンクリート打放しのデザインが特徴の外観です。

国立国会図書館 国際子ども図書館
2015年竣工
アーチ棟の内周はガラスカーテンウォールの曲面のデザイン、外周はコンクリート打放しの外装が特徴です。1929年(昭和4年)に増築された明治ルネサンス様式の建物を再生しレンガ棟とし、その新館として安藤忠雄設計のアーチ棟を合体させた建築です。

東京大学 情報学環・福武ホール
2008年竣工
奥行きが15mしかない細長い建物は京都の三十三間堂をモチーフに設計され、約100mのコンクリート壁が特徴的です。

Dacha
2014年竣工
コンクリート打放しの外観と採光を工夫した設計は安藤氏の持ち味が発揮されている集合住宅です。

下北沢病院
1986年竣工
前面道路に合わせてカーブする曲面を強調したコンクリートの外装が特徴です。

東急 上野毛駅
2011年竣工
曲線美が特徴。溶解亜鉛メッキされたスチールの梁と柱が目を引きます。

Audi 世田谷
2002年竣工
大きなガラス張りの建物が特徴で、夜間照明に輝く展示がショーケースの中の宝石に見えるようなデザインです。

隈研吾

初期にはドーリック南青山ビルやM2ビルなど現在の作風とは相容れないものでした。しかし東日本大震災以降、木材の縦格子を多用したデザインが隈研吾の象徴にな理、今や引っ張りだこの人気建築家になっています。

としまエコミューゼタウンビル
2010年竣工
自然と建物の共存をコンセプトに樹木の様なビルに区庁舎と高層マンションを一体化させたデザインです。1階から10階までを太陽光パネル、日射制御ルーバーを外壁に組み合わせて覆い、植栽を配置しています。東池袋駅から区役所へのアクセス途中には隈研吾らしい木を使った内装が施してあります。

パークコート神楽坂
赤城神社
2010年竣工
神社の境内におしゃれなマンションを建て、神社も設計してしまいました。マンション棟は外観がアルミの板を交互に重ねてストライプ状のデザインになったシャープな印象です。神社もガラスが多用されてモダン和とモダンが融合しています。

ダイワユビキタス学術研究館
2014年竣工
ひと目見てすぐに隈建築だと分かるデザイン。外装は段違いのピアノの鍵盤のような杉板が全体を覆っています。

クラシックガーデン文京根津
根津 釡竹
2005年竣工
旧田嶋邸の跡地に建てられた介護付有料老人ホームです。旧邸の雰囲気を現代に伝え、椎、金木犀の古木を生かし往年の雰囲気のままに再現。同じ敷地内にある石蔵を改装したうどん店「根津 釡竹」も隈研吾の設計です。

浅草文化観光センター
2012年竣工
伝統的な切妻屋根の木造住宅を7つ積み重ねたようなデザイン。外観の木製ルーバーは日射を防ぐ役割も果たします。

ティファニー 銀座本店
2008年竣工
全て異なる角度で292枚のガラスとアルミハニカムでつくった特殊パネルを外壁に設置したリノベーション設計です。

歌舞伎座タワー
2013年竣工
歌舞伎座の佇まいを残しながらオフィスタワーと合体した、いわゆる腰巻ビルです。隈研吾は共同設計で参画。

築地KYビル
2016年竣工
下町の木造建築のような質感を取り戻すため、木目プリントしたアルミパネルを用いたリノベーション設計です。

東雲キャナルコートCODAN3街区
2004年竣工
CODANは山本理顕、伊東豊雄、隈研吾などの建築家たちが、それぞれ手がけた棟が並ぶ団地です。隈研吾はRIAとの共同で3街区の設計を担当しました。因みに1街区は山本理顕、2街区は伊東豊雄、4街区は山田正司。

国立競技場
2019年竣工
明治神宮外苑との調和を目指した「杜のスタジアム」のコンセプトを掲げ、日本らしいスタジアムを目指しました。屋根や軒庇などを鉄骨と木材のハイブリッド構造とし、最大高さを47.4mと比較的低く設定することで、水平ラインを強調した構造となっています。使用する木材は47都道府県から集められた杉材およびカラマツを使用。

明治神宮ミュージアム
2018年竣工
日本伝統の入母屋造にして建物全体の高さを抑え大屋根が印象的なシャープで、周囲に溶け込むようなデザインです。

ONE表参道
2003年竣工
隈研吾らしく外壁は全てカラマツ集成材のルーバーで覆われ、表参道のケヤキ並木と響き合うようなディテールです。

根津美術館
2009年竣工
切妻造の大屋根がシャープな印象で、洗練されたディテールと陰影が効いていて「和の大家」を決定づけた建築です。

サニーヒルズ南青山
2013年竣工
パイナップルをイメージしたど肝を抜く外観が特徴的。地獄組みという木組み構造でつくられた3階建ての建物です。

ドーリック南青山
1991年竣工
隈のポストモダン建築で、ギリシア建築のドーリア柱をモチーフにしたものです。最近の建築と比べる価値ありです。

サントリー美術館
1961年竣工
光を調節できる白磁パネルでつくられた垂直のルーバーが特徴で、伝統的な無双格子にヒントを得たといいます。

パークコート赤坂檜町ザ タワー
2018年竣工
隣接する東京ミッドタウンと一体化した都市景観を目指したといいます。バブル後の最高値の高層マンションです。

東急キャピトルタワー
2010年竣工
旧ホテルの「伝統の和」を具現化するため隈研吾が外観デザイン及び共用部インテリアデザインの監修を担当しました。

高輪ゲートウェイ駅
2019年竣工
天井には白い天幕のような膜構造の大屋根が架かり、鉄骨と杉の集成材の梁によって折り紙を広げたような外観です。

黒川紀章

黒川紀章は東京大学大学院では丹下健三の門下生でした。1962年に独立して世界的に活躍、日本のポスト・モダン建築家として美術館と博物館を中心に多くの建築を手がけました。私生活では若尾文子と1983年に再婚しました。

BIG BOX
1974年竣工
竣工時には前面に「走る人」の巨大な絵が描かれ、窓のない箱のような外観も斬新でした。

ワコール麹町ビル
1984年竣工
細長く空調などを収めた半円形のドーム状の屋根が特徴的。近未来イメージと伝統的な和との組合せが共生しています。

日本看護協会
2004年竣工
円錐形のエントランスは黒川建築の特徴的な幾何学形態です。セットバックし前面に公園を設けて建てられています。

国立新美術館
2006年竣工
波のようにうねるガラスカーテンウォールが美しい曲線を描き、円錐形の正面入口とともに個性的な外観です。二・二六事件ゆかりの旧日本陸軍歩兵第三連隊駐屯地の跡地であり、兵舎が一部現存された別館があります。尚、黒川の生前に完成した最後の美術館です。

日本赤十字社 本社
1977年竣工
赤十字本社と貸オフィスが左右に分かれた1つの建築で、中央のガラス通路は路地や軒下空間に見立てられています。

中銀カプセルタワービル
1972年竣工
黒川の初期の代表作で、メタボリズムの設計思想を明確に表現したデザイン性は高く評価されています。カプセルは交換可能。カプセルの面積は10m2で必要な機器は作りつけで完備されている一方で、キッチンや洗濯機はない。老朽化により取り壊しが検討されています。

ウインズ銀座
1990年竣工
JRA直営の場外馬券発売所としては日本最古のものです。

スパッツィオ・ブレラ銀座
2005年竣工
狭隘地に建てられた10階建複合ビル。29本の柱が頂上の1点に集まる有機的曲面を持つガラスのタワーです。

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